猿啼奥出雲集

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大原のみやのくろ影色づけば実籾のもみじみちにけるかも

久方の空立つ雲雀が遊びし春を知らせる奏の杜に

夕暮れはげにこそあかね茜浜錦を着たる冬の海原

谷津干潟貫く喧騒よそにして羽掻く鴫の秋の夕暮れ

夏空に色も映えたる総武線車窓を打つ川の瞬き

引き別れ涙にそぼつ袖ヶ浦恨めど寄せる思いこそすれ

茜浜海にこだますうぐひすを誰や言ひけむ谷のものぞと

あかねさす習志野はまのまつ君に逢わぬかぎりは思ふかいひなし

あかねさす習志野の浜千鳥なくゆくへも知らぬあとをととめて