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猿啼奥出雲集
和歌にこめた思い
新しい古典和歌の歴史をつくる!
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歌人紹介
猿啼奥出雲集
全歌
四季
夏
そよ風に萎れし花の夕暮れは常よりあつき夏の思ひで
向日葵も暑しとみえて夏の日を背けて今は雨ほしげなり
蝉しぐれ降りぞまされる青空に待ちぼうけする向日葵の花
あまつそら起きつ白波越えにけり結びし花のむらさきの峰
夏ふけてすずしき月の水のうへに蛍は燃ゆる思ひありせば
音もなくよりけに燃ゆる蛍かな五月雨つらき夕暮れのころ
夏空に習ひの羽根を吹き交ぜてこころ定めむ山越の風
五月雨に絶えても人のおもひあれ窓に音せぬ蛍飛ぶころ
紫陽花によそふるつゆも知らぬ間にかれてむなしき夏の恋かな
心にはあらで下照る紫のながめそらなるうひの紫陽花
いづくにぞ色触れにけるくれないの末摘花の忘れがたきに
さみだれて今朝も枕に目覚めれば移ろひにけり雨の橘
五月闇くらぶの山を越え来ればわが来し道が道のみと知る
あかぬいろ見つつ躑躅の花園に鳥語らひて夏ぞへにける
桑の葉の音のみさやぐむばたまの夜まちかねていもや寝られず
空閉じて心あけたる木陰かな繁るこずえの風のさやけさ
月やいかに花のしるべとなりぬらむしののめに散る夢ぞはなかき
思ひ出づこの身竹笋雨ふればさらに繫るる恋もするかな
五月雨は晴れむと見えて武蔵野の草はあはれに色まさりけり
漏れ出づる隙の影さへ恋しけり雨むつまじき五月雨の夜
夏はまだ雲のはたてにふし詫びぬ降りそぼちつつ五月雨の空
夢見てもやがて消ぬべき露なればやむことなかれ夏の村雨
ひとしきり雨を落とした習志野の土まだ暑し夕立の雲
忘れなむ昔の人の音絶えて夕暮れとほく匂ふ橘
音もなく袖は濡れけりうちはえて雲居にやどる月ほのぼのと
色に愛でて末摘花の手に取ればあなあな憎し棘の痛みよ
夏木立しげる思ひは陰ながら昔の人をなほ待ちわびて
びいろどの隙間の空を割いて鳴く思ひでつらき夏ほととぎす
見し人のかげ木漏れ日にきらめいて梢まだしき橘の花
風は似てヴィオラの響く百合ヶ丘花の下とふ人知れぬひと
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