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猿啼奥出雲集
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猿啼奥出雲集
和歌にこめた思い
新しい古典和歌の歴史をつくる!
内田かつひろ/和歌DJうっちーのご紹介
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歌人紹介
猿啼奥出雲集
全歌
四季
夏
夕暮れの雲のはたての下にすむ昔の人に会ふよしもがも
鎌倉の夏をあつめて円覚寺よもの梢に蝉ぞなくなる
踏切の絶えで鳴るなり鎌倉の古きお寺に蝉の声ごえ
蝉の音もひとつふたつと消えぬれば寂しくもなるか夏の行方も
こがくれてまだ見ぬ秋を思ふにもなほ恨めしき蝉しぐれかな
響かせて夏は来るなり蝉の声雨音しずむ窓のけしきに
紫陽花の色も遠くになりぬれば天の白雲ながめつるかな
ふさぎける心はいずこ大空にほがらほがらと雲ぞ浮きける
たれこめて変わらぬ空を眺めても思ひめぐるは木の下の影
白雲の峰立ち上る夏の日にシロツメクサの野はこがれゆく
さみだれて夢の足音かぞふれば小泥(こひぢ)の末に見し人の影
青は藍愛は恋より出できてふ今ひとしほの色をみせばや
ひよるりとトンビの空を聞きながら横須賀線は逗子を離れゆく
いつの間に老ひぞしにけるタンポポの日並めの色は見る影もなし
魂なれば蛍よりけに燃ゆる火のそれとかと見よ出づる思ひを
クチナシの声はなくとも誘ひける夏のにおいに徒ぞ止みつる
数ふれば夏も半ばになりぬとて急き立て散らす軒の親鳥
道の辺の屑にもまれて生ひにける菫の色に情けなかけそ
大川のをちかた白き雲みれば夏遠からじまた辛からじ
草を刈る君が裳裾を吹き返す風はやうやう凪めきにけり
五月雨にそえて楽しき手毬唄まがきの花はいま盛りなり
暮れぬまにうちむれてこそ待ちにけれ雨はやまねど月見草かな
もの言えぬ心地なるかな花菖蒲あやめもわかぬ花にしあれば
どくだみの動くとみえて白妙の花園にかよふ紋白蝶
夏にふる雪とはいはじ白雲の峰にかかりてげに山ぼうし
ほととぎす雲居はるかに鳴く声に 戸渡る月の影ぞ知らるる
開け放つ窓より来る若草の夏の匂ひにまだなれやらず
夏の日の金糸梅咲く下影に優し顔なる野芥子ありけり
今日もまた雨の有明あぢきなし夢とく鳥の声だにもせず
わが思ひうつすとみえて紫陽花の雨に濡れては色まさりけり
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